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松本人志の性加害を吉本が認めた。危機管理対応で失態をする。学べることは。

週刊文春による告発がされた松本人志さんの性加害問題。
吉本興業はこの件に関して「事実無根」との発表をしていましたが、続報が次々と出てくるにつれてコメントにも変化が出てきました。

目次

吉本のコメント

今回の松本人志さんの性加害問題に関して、2023年12月に吉本興業は次のようなコメントを発表していました。

2023.12.27

一部週刊誌報道について

本日発売の一部週刊誌において、当社所属タレント ダウンタウン 松本人志(以下、本件タレント)が、8年前となる2015年における女性との性的行為に関する記事が掲載されております。

しかしながら、当該事実は一切なく、本件記事は本件タレントの社会的評価を著しく低下させ、その名誉を毀損するものです。当社としては、本件記事について、新幹線内で執拗に質問・撮影を継続するといった取材態様を含め厳重に抗議し、今後、法的措置を検討していく予定です。

ファン及び関係者の皆様には大変ご心配をおかけする記事内容でしたが、以上のとおり本件記事は客観的事実に反するものですので、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。

吉本興業HPより

吉本興業は、

当該事実は一切なく、本件記事は本件タレントの社会的評価を著しく低下させ、その名誉を毀損するものです。

とのコメントを発表していました。

その後、週刊誌での続報を受け、次のようなコメントを発表しました。

昨年末以来の当社所属タレントに関する様々な報道により、ファンの皆様及び関係先各位に多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことをまずもって心からお詫び申し上げます。 

今般、私的行為とはいえ、当社所属タレントらがかかわったとされる会合に参加された複数の女性が精神的苦痛を被っていたとされる旨の記事に接し、当社としては、真摯に対応すべき問題であると認識しております。

当社は、これまでもコンプライアンスの徹底・ガバナンスの強化に取り組んでまいりましたが、とりわけ昨年7月以降は、事業整理・組織改編と共に、社外有識者を交えたガバナンス委員会を設置し、複数の外部弁護士をコンプライアンスアドバイザーとして招聘するなど体制を整備して、様々な事案について指導・助言を仰ぎながら、コンプライアンスの周知徹底及びガバナンスの強化に努めてまいりました。

現在、当社におきましては、コンプライアンスアドバイザーの助言などを受けながら、外部弁護士を交えて当事者を含む関係者に聞き取り調査を行い、事実確認を進めているところです。

そして、昨日開催されたガバナンス委員会において、これまでの経緯及び現状等を報告したところ、「所属タレントが提訴した訴訟の経過も注視しつつ、事実確認をしっかり行った上で、何らかの形で会社としての説明責任を果たす必要がある。」「当初の『当該事実は一切なく』との会社コメントが世間の誤解を招き、何を指しているのか不明確で混乱を招いたように思う。時間がない中での対応とはいえ、今後慎重に対応すべきである。」等の厳しい指摘を受けるとともに、今後、タレントのみならず、全てのグループ会社を含めた当社社員に対しても、改めて個人の尊厳に対する意識を高め、日常におけるハラスメントを防止するための教育・研修を実施していく必要があるとの意見を承りました。

もとより、当社におきましては、様々な差別・ハラスメントは重大な人権侵害であり、到底許されるものではないとの認識に基づき、吉本興業グループ行動憲章の中で「人権の尊重」「法令等の遵守」を掲げ、社員及び所属タレントに対して同憲章の周知徹底を図ってきているところです。

今後、当社といたしましては、引き続き、コンプライアンスアドバイザーの指導等を受けながら事実確認を進め、その中でコンプライアンスの指導・教育を行っていくとともに、ガバナンス委員会からのご意見等を踏まえ、個人の尊厳・人権の尊重という基本的な理念について改めて教育の場を設け、ハラスメント等に対する意識を高める研修を実施してまいりたいと考えております。

こうした取組みを継続することで、ファンの皆様及び関係先各位からの信頼を取り戻してまいりたいと存じますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

吉本興業HPより

先のコメントより約一か月後上記のようなコメントを発表しました。

私的行為とはいえ、当社所属タレントらがかかわったとされる会合に参加された複数の女性が精神的苦痛を被っていたとされる旨の記事に接し、当社としては、真摯に対応すべき問題であると認識しております。

事実上、性加害の事実を認めるようなコメントを発表しています。

吉本興業の対応はどこが間違っていたのか。

吉本興業は松本人志の事案に対し、一旦は事実無根とのコメントを発表していますが、その後、事実を認めるようなコメントを発表しています。

今回の吉本興業の対応はどこかいけなかったのでしょうか。

  1. 事案の状況を正確に把握せずにコメントを出した。
  2. 本人の言い分を信用しすぎた。
  3. 被害者の心情を考えなかった。
  4. 週刊誌の追加記事の内容を把握していなかった。

1.事案の状況を正確に把握せずにコメントを出した

12月に吉本興業がコメントを出すにあたり、松本人志さんに事情を聴取したことと思います。
その内容を踏まえ、事実無根とのコメントを出しましたが、実際には他のタレントの発言も踏まえ、高級ホテルでの飲み会はあったとの報道が出ています。
事実無根ということは、飲み会自体もなかったとのコメントであったとは思いますが、事実として飲み会はあったことが判明しています。

危機対応では早急な対応が必要になり、早急な記者会見等の状況の説明が必要となりますが、今回はスピードを重視したあまり正確な状況が把握できず事実と異なる発表となり、改めてコメントを出すこととなってしまいました。

今回の事案では事実を正確に調査しコメントを発表する必要がありました。

2.本人の言い分を信用しすぎた。

今回改めてコメントを発表しなければならなかったのは、松本人志さんの言い分をそのまま信用し、綿密な事実の確認ができていなかったことがあります。
松本人志さん本人は、名誉毀損による損害賠償請求と、訂正記事の掲載を求めて提訴しています。

吉本興業は事実を正確に確認せず、松本人志さんの言い分を信用しすぎたことがありました。
吉本興業は正確な事実確認が必要でした。

3.被害者の心情を考えなかった。

吉本興業は2度目のコメントで、

当社所属タレントらがかかわったとされる会合に参加された複数の女性が精神的苦痛を被っていたとされる旨の記事に接し、当社としては、真摯に対応すべき問題であると認識しております。

とのコメントを出しています。
今回報道されてということは、松本人志さんの相手方の女性がいたということです。
その女性たちの被害意識について、女性たちの心情を考慮せず一方的に事実に反することとしてコメントを出しています。
被害を受けたとされる被害者の心情を考える必要がありました。

4.週刊誌の追加記事の内容を把握していなかった。

今回の報道に対し、第2弾、第3弾と報道が次々に出てきました。
マスコミ関係者としてこの追加の報道を把握していなかったということがありました。
この追加の報道があると知っていれば今回の事実無根とのコメントの発表はありませんでした。
追加の報道があり、それを受けて吉本興業は2度目のコメントの発表となりました。

まとめ

今回の吉本興業の対応については、正確な事実の把握ができていなかった、世間の反応について分析ができていなかったということがありました。

我々が今回の事案で学ぶことは、

  • 正確な状況の把握
  • 世間の反応の推測
  • 状況を正確に把握したうえでの解決策の提示

以上のことが必要であったことがあります。

2023年12月に高島屋のクリスマスケーキの記者会見でもありましたが、正確な把握分析が必要となってきます。





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