「三重県=温暖」だと思っていませんか?
実は、桑名市を含む三重県北部は、東海地方の中でも**「隠れ雪国」**と呼ばれることがあるほど、雪が降るし、積もる地域なんです。
特にここ数年は、全国ニュースになるような大雪や立ち往生も発生しています。
今回は、桑名市在住の方や、冬に桑名方面へ車で来る方向けに、過去5年間の積雪データと、なぜ桑名だけこんなに雪が降るのか?という疑問をまとめてみました。
過去5年間の積雪状況まとめ(2020年〜2024年冬)
まず大前提として、気象庁の桑名観測地点(アメダス)では「積雪の深さ」を計測していません(降水量のみ)。
そのため、ここでは桑名市に地理的に近く、気象条件が似ている**「四日市」の公式記録**をベースに、桑名市での当時の実況(ニュースやSNSでの報告)を加味してまとめています。
基本的に**「四日市で降っていれば、桑名(特に多度・いなべ寄り)はもっと降っている」**と考えて見てください。
| 年 | 主な積雪時期 | 四日市の最深積雪 | 桑名市周辺の状況・備考 |
| 2024年 | 1月24日〜25日 | 5cm | 岐阜・滋賀県境での大雪の影響を受け、桑名市内でも路面凍結が発生。国道1号線などで渋滞。 |
| 2023年 | 1月24日〜25日 | 24cm (観測史上最多) | 【災害級の大雪】 10年に1度の最強寒波。新名神高速道路での大規模立ち往生が発生し、桑名市内の国道も完全に麻痺。 |
| 2022年 | 2月5日〜6日 1月14日 | 9cm | 断続的に強い寒気が流入。日陰では数日間雪が溶け残る状況に。 |
| 2021年 | 12月26日〜27日 | 14cm | 年末の大雪。滋賀県彦根市で記録的大雪となった際、その余波で三重北勢地域もドカ雪に。 |
| 2020年 | 12月 | 記録なし(少雪) | 暖冬傾向で目立った積雪はなし。 |
ポイント:
- 2023年1月の24cmは衝撃的でした。この時は桑名市内でもひざ下くらいまで積もった地域があり、ノーマルタイヤの車が坂道でスタックする光景が多発しました。
- 年に1〜2回は「交通機関が麻痺するレベル(5cm〜10cm以上)」の積雪があると考えた方が無難です。
なぜ桑名市は雪が多いのか?(気象的解説)
「名古屋は晴れているのに、桑名に入った瞬間、猛吹雪」
これは桑名あるあるですが、なぜ起きるのでしょうか?理由は明確で、地形にあります。
1. 「雪の通り道」の出口にあるから
通常、日本海側(福井・滋賀方面)で発生した雪雲は、高い山脈(鈴鹿山脈など)にぶつかってそこで雪を降らせ、太平洋側には乾いた風(空っ風)として吹き下ろします。
しかし、滋賀県の関ケ原周辺だけ山が低く、隙間が開いているのです。
冬の季節風に乗った雪雲は、山を越えることなくこの「隙間」を通り抜けてきます。
この隙間(関ヶ原)を抜けた直後に位置するのが、岐阜県大垣市や三重県いなべ市・桑名市なのです。
気象予報士の間では、このラインにできる雪雲の帯を「日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)の余波」や「伊吹おろしによる雪」と呼びます。
2. 「養老山地」にぶつかる
関ヶ原を抜けてきた雪雲が、桑名の西側にそびえる養老山地に沿って流れてくるため、桑名市(特に西側の多度町方面や、丘陵地帯の団地)は大雪になりやすい傾向があります。
桑名市周辺での積雪に関する事件・事故
「たかが雪」と侮ると痛い目を見るのが桑名の雪です。過去に起きた大きなトラブルを知っておきましょう。
1. 新名神高速道路の大規模立ち往生(2023年1月)
記憶に新しいのがこれです。新名神高速道路(菰野〜甲賀間)で、除雪が追いつかず多数のトラックや乗用車が20時間以上立ち往生しました。
これに伴い、迂回しようとした車が国道1号線や国道23号線、国道421号線に殺到。桑名市内の主要道路が**「全く動かない巨大な駐車場」**と化しました。
2. 木曽三川の橋の上でのスリップ事故
桑名市は、愛知県との県境に「木曽川・長良川・揖斐川」という大きな川があります。
ここにかかる橋(伊勢大橋、尾張大橋など)は、吹きっさらしのため非常に凍結しやすいです。
積雪量が少なくても、橋の上だけアイスバーンになり、スリップ事故→通行止め→大渋滞というパターンが毎年冬の定番です。
まとめ:桑名の冬を甘く見てはいけない
桑名市は、地理的には太平洋側ですが、冬の天気に関しては**「準・日本海側気候」**と思った方が良いです。
- スタッドレスタイヤは必須: 12月〜3月上旬までは履いておきましょう。「降ったら乗らない」と思っていても、出先で急に降られるのが桑名の雪です。
- 橋の上の凍結に注意: 国道1号、23号の橋は、見た目が黒くても凍っている(ブラックアイスバーン)ことがあります。
- ドカ雪は突然来る: 名古屋が晴れていても、桑名の空が暗かったら警戒してください。
2025年の冬も、安全運転で乗り切りましょう!


