日本の深奥、宮崎県椎葉村に息づく「奇跡」
日曜の夜、深い静寂と共に届けられるNHKスペシャル。2026年1月18日に放送されるのは、日本三大秘境の一つ、宮崎県**椎葉村(しいばそん)を舞台にした『椎葉 山物語 “のさり”の原風景』**です。
周囲を1,000メートル級の峻険な山々に囲まれたこの村には、平家の落人伝説が残り、今もなお日本最古の農法といわれる「焼畑」や、夜を徹して舞う「神楽」が大切に守られています。しかし、この番組が追うのは単なるノスタルジーではありません。そこにあるのは、現代人が見失いかけている**「自然と共生する覚悟」**です。
第1章:すべては授かりもの。“のさり”という哲学
番組のキーワードとなる**「のさり」**。 これは、椎葉の人々が大切にしている言葉です。
「のさり」とは: 「天からの授かりもの」「運命」という意味。良いことも、悪いことも、すべては自分の力ではなく、自然や神様から与えられたものとして、謙虚に、そしてあるがままに受け入れる精神を指します。
大雨で道が崩れても、作物が実らなくても、あるいは予想外の豊作に恵まれても、彼らは「のさりやね」と笑います。執着せず、抗わず、自然のサイクルの一部として生きるその姿は、ストレス社会を生きる私たちの心に深く刺さります。
第2章:山に火を放ち、再生を待つ「焼畑」の循環
椎葉村の象徴ともいえるのが、数千年前から続くとされる**「焼畑」**です。 単に森を焼くのではありません。
- 火入れ: 山を焼き、灰を肥料にする。
- 栽培: ソバやアワ、小豆などを数年かけて育てる。
- 休閑: 20年、30年かけて山を眠らせ、再び豊かな森へ戻す。
この壮大な循環の中に身を置く人々の手仕事。番組では、ドローンや高精細カメラを駆使し、炎が山を包む神聖な瞬間から、数十年後に緑が蘇るまでの命の躍動を記録しています。
第3章:神と人が溶け合う「椎葉神楽」の夜
冬の椎葉を語る上で欠かせないのが「神楽」です。 集落ごとに夜を徹して舞われるその姿は、厳しい冬を越え、春の訪れを願う切実な祈り。 老いも若きも、男も女も、神楽宿に集い、酒を酌み交わし、神と共に笑う。そこには、孤独とは無縁な、強固な共同体の絆があります。
放送局情報
- 番組名: NHKスペシャル 椎葉 山物語 “のさり”の原風景
- 放送日時: 2026年1月18日(日) 21:00〜22:00
- チャンネル: NHK総合・名古屋 (Ch.3)
まとめ:私たちは何を「のさり」として生きるのか
60分間の放送が終わる頃、きっとあなたの心には、椎葉の深い霧と、お年寄りたちの穏やかな笑顔が残っているはずです。
便利さの裏側で私たちが削ぎ落としてしまった「不便さゆえの豊かさ」。 「のさり」の精神は、予測不能な未来を生きる私たちにとって、最大の知恵になるかもしれません。日曜の夜、テレビの前で深く深呼吸し、日本の原風景に魂を浸してみませんか。
