1. 導入:タモリが辿り着いた「国宝五城制覇」の金字塔
国宝犬山城回が持つ特別な意味
テレビ番組の歴史において、一つの大きな節目となる放送回があります。2026年4月25日に放送された『ブラタモリ:国宝犬山城』は、まさにその一つ。番組開始から11年、日本全国の地質と歴史を歩いてきたタモリさんが、ついに「国宝五城(姫路、松本、彦根、松江、犬山)」のすべてを訪問し、制覇するという記念すべき回となりました。単なる城紹介に留まらず、タモリさんの旅の集大成としての空気感が番組全体に漂っていました。
信長・秀吉・家康が惚れ込んだ「要塞」の美学
愛知県犬山市にそびえ立つ犬山城。ここは織田信長、豊臣秀吉、徳川家康という「三英傑」全員が関わった稀有な場所です。なぜ彼らはこの小さな、しかし峻険な城をこれほどまでに重視したのか。番組では、その答えを教科書的な歴史年表ではなく、「地面」と「視点」から紐解いていきます。天下人が見た景色をタモリさんが同じ高さで追体験する姿は、視聴者を400年前の戦国時代へと誘いました。
「高低差」と「歴史」が交差するブラタモリ的視点
ブラタモリの真骨頂といえば、やはり「高低差」です。犬山城は木曽川沿いの断崖に建つ「後堅固(うしろけんご)の城」として知られます。背後に流れる木曽川の急流を天然の堀とし、前面からは攻めにくい天然の要塞。この地形がなぜ生まれたのか、という地質学的アプローチから入ることで、城の美しさが単なる装飾ではなく、生存戦略に基づいたものであることが鮮明に描き出されました。
2. 番組データ:放送日時と視聴のポイント
放送情報:2026年4月25日(土)NHK総合
今回の舞台は愛知県犬山市。放送時間は19:30から20:07の37分間でしたが、その密度は凄まじいものでした。名古屋放送局の制作協力もあり、地元ならではの深いネタが随所に散りばめられていました。特に、空撮映像を駆使して木曽川と城の位置関係を示す演出は、この番組ならではの視覚的な説得力に満ちていました。
出演者:タモリ、近江友里恵
今回の旅のパートナーは近江友里恵アナウンサー。彼女の素直な驚きと、タモリさんの博識ぶりが生むテンポの良い掛け合いは、この時期のブラタモリの大きな魅力です。専門家が提示する難しい地質用語を、タモリさんが噛み砕き、近江アナが視聴者目線で「なるほど!」と反応する。このトライアングルが、犬山城という重厚なテーマを軽やかなエンターテインメントへと昇華させていました。
ナレーションと番組のテンポ感
草彅剛さんの温かみのあるナレーションが、タモリさんの歩みに寄り添います。特に今回は「五城制覇」というお祝いムードもあり、いつも以上に優しく、かつ高揚感のある語り口が印象的でした。番組のBGM、井上陽水さんの「女神」が流れるタイミングも完璧で、犬山城の天守から吹き抜ける風をテレビ越しに感じさせるような、心地よい編集が光っていました。
3. 犬山城の歴史と「天下人が愛した」背景
木曽川を眼下に望む「後堅固の城」の地政学
番組がまず注目したのは、犬山城が「なぜそこにあるのか」という点です。背後に広がるのは、暴れ川として知られた木曽川。天守の裏側は切り立った崖になっており、敵は背後から攻めることが物理的に不可能です。タモリさんは、この「天然の防御力」を足元の岩盤から解き明かします。川が削り出した地形こそが、軍事拠点としての犬山城の価値を決定づけていたのです。
信長が城主とした信康、秀吉と家康の激突「小牧・長久手の戦い」
歴史ファンにとって垂涎もののエピソードも満載でした。織田信長の叔父、信康が築いたといわれるこの城は、織田家の拠点として機能しました。その後、本能寺の変を経て、秀吉と家康が直接対峙した「小牧・長久手の戦い」では、秀吉軍の本陣がこの犬山城に置かれました。タモリさんは天守の望楼(ベランダ)に立ち、「ここから秀吉は家康の動きを監視していたんだな」と、歴史の当事者の視線に思いを馳せます。
明治の廃城令を乗り越え、成瀬家が守り抜いた奇跡
犬山城の最大の特徴は、かつて日本で唯一の「個人所有の城」であったことです。明治時代の廃城令で多くの城が取り壊される中、犬山城は奇跡的に残り、その後、旧城主の成瀬家が震災からの修復を条件に譲り受け、私財を投じて守り続けてきました。番組では、その「維持」の苦労にもスポットを当て、単なる観光地ではない、人々の愛着によって守られた「生きた国宝」としての姿を強調しました。
国宝五城それぞれの個性
ここで、タモリさんが訪れてきた他の国宝四城についても触れられました。軍事要塞としての完成度を誇る「姫路城」、漆黒の優美さを纏う「松本城」、平和の象徴である「彦根城」、そして実戦的な「松江城」。これらと比較することで、最古の天守を持つ「犬山城」のコンパクトながらも力強い、野性味溢れる個性が際立ちました。
4. 主要出演者の役割:タモリの「地質愛」が炸裂する瞬間
タモリ流・天守閣からの眺望の楽しみ方
一般の観光客は「いい景色だな」で終わってしまいますが、タモリさんは違います。天守の望楼に出るなり、手すりの低さにスリルを感じながらも、視線は対岸の山々や川の蛇行に向けられます。「あそこの山の形を見てください。あれは古い地層が押し上げられた証拠ですね」と、景色の中に地球の営みを見出すタモリ節。これこそがブラタモリの醍醐味です。
案内役の学芸員・専門家との高度な「知識のプロレス」
今回の案内役の方も非常に熱量が高く、タモリさんの鋭い指摘にたじたじになる場面もありました。特に犬山城の石垣についての議論では、「これは野面積み(のづらづみ)ですね。石の加工が最小限で、自然の力をそのまま利用している」とタモリさんが即座に見抜くと、専門家も「その通りです!よくお気づきで!」と脱帽。このプロ同士のリスペクトがあるからこそ、情報の質が極めて高いのです。
近江アナの視聴者目線のリアクション
近江アナの存在感も欠かせません。タモリさんの専門的な話に置いていかれそうになりながらも、「えっ、この岩、そんなに古いものなんですか?」と素朴な疑問を投げかけることで、番組を親しみやすいものに引き戻します。特に天守の回廊を歩く際の、少し怖がりながらも楽しそうな表情は、視聴者の共感を呼びました。
国宝五城制覇を達成した瞬間のタモリの表情
番組のクライマックス、五城すべてを回ったことを改めて告げられたタモリさんは、少し照れくさそうに、しかし深く頷きました。「ようやく終わりましたか。でも、城は一つとして同じものがないから面白いね」という言葉には、長年の旅を通じて得た深い知見と、尽きることのない好奇心が滲み出ていました。
5. 【神回確定】絶対に見逃せない過去の城シリーズ名場面
「姫路城」で見せた、修復技術への深い敬意
今回の放送を見て、過去の城回を思い出したファンも多いはずです。特に姫路城の回では、平成の大修理の際、タモリさんが職人の技術に感銘を受け、屋根瓦の漆喰の塗り方にまで細かく質問攻めにしたシーンが印象的でした。美しさを支える「裏方の力」への敬意は、今回の犬山城でも共通するテーマでした。
「松本城」の石垣の積み方に隠された戦略
松本城では、沼地に建つ城としての工夫を紐解きました。埋め立てられた土地を支えるための木の杭や、石垣の傾斜の美しさ。タモリさんは、その構造を見て「これは当時のハイテクですよ」と唸りました。犬山城の「岩盤の強固さ」とは対照的な「地盤の弱さを克服した知恵」への注目は、ブラタモリならではの比較文化論です。
「彦根城」の琵琶湖を活用した物流と防衛
彦根城の回では、城下町をめぐる水路の役割を徹底調査しました。単なる防衛ラインではなく、物流の動脈として機能していた点に、タモリさんは強い関心を示しました。犬山もまた木曽川の物流拠点。過去の知識が今回の旅に結びつく瞬間に、シリーズとしての厚みを感じます。
今回の「犬山城」がこれまでの城回と一線を画す理由
今回のハイライトは、なんといっても「現存最古」という時間軸の重みです。天守の内部に残る、荒々しく削られた柱の跡や、不揃いな階段の段差。それらは装飾を削ぎ落とした「戦うための道具」としての城の原風景を伝えてくれました。タモリさんがそれを愛おしそうに撫でる姿は、これまでの旅の集大成にふさわしいものでした。
6. 放送直後から話題!SNSでの反響と口コミ分析
「ついに制覇!」タモリの偉業を称えるファンの声
Twitter(現X)では放送中から「#ブラタモリ」がトレンド入り。「タモリさん、五城制覇おめでとう!」「11年かけて五城全部紹介する番組なんて他にない」といった祝福の声が溢れました。一人のタレントが、これほどまでに専門的な旅を完遂したことへのリスペクトは、番組のブランド力を象徴しています。
犬山城下町のスイーツやグルメ情報の拡散
番組では城だけでなく、城下町の活気も紹介されました。江戸時代の町割りが残る美しい街並みと、そこで親しまれている「団子」や「五平餅」。放送後、実際に犬山を訪れた人々が「タモリさんが歩いたルートを辿ってみた」と写真をアップし、聖地巡礼の盛り上がりを見せています。
地質マニアも納得の「チャート」への言及
今回のキーワードの一つ「チャート」。堆積岩の一種であるこの非常に硬い岩石が、犬山城の土台となっていることが解説されると、地質学ファンからは「ついにチャートが地上波で主役になった!」「犬山のチャートは世界級の価値がある」といった熱狂的な投稿が相次ぎました。
「明日、犬山に行きたい」と思わせる映像美の評価
4K撮影された木曽川の輝きと、それに映える白い天守のコントラスト。「映像が綺麗すぎて、行きたくならないはずがない」というコメントが多く見られました。番組が持つ「旅情を誘う力」は、今回の放送で最高潮に達したと言えるでしょう。
7. マニアが唸る!犬山城の「伏線」と「演出の妙」
現存最古の天守に残る「野面積み」の美しさ
石垣マニアが注目したのは、やはり天守を支える石垣の形状です。自然石をそのまま積み上げる「野面積み」は、一見不格好ですが排水性に優れ、強固です。タモリさんが「この石の隙間に、当時の人の息遣いを感じる」と述べた通り、不揃いな美しさが犬山城の生命線を支えていることが、克明に映し出されていました。
木曽川の急流と「断崖絶壁」の地質学的関係(チャートの硬さ)
犬山城が建つ山は、実は「チャート」という極めて硬い岩石の塊です。この岩が硬すぎて川に削られなかったために、そこだけが突出した崖として残った。つまり、地層が「天然の本丸」を用意していたというわけです。この「地質が歴史を決定づけた」という結論への導き方は、番組制作陣の緻密なリサーチの賜物です。
城下町の「枡形」に残る当時の防衛意識
番組後半で紹介された城下町歩き。一見普通の曲がり角が、実は敵の侵入を阻む「枡形(ますがた)」という構造であったことを見抜くタモリさん。地面に残る微妙な角度や道幅の変化から、400年前の武士たちの設計思想を読み解く演出は、まさにブラタモリの真髄でした。
番組スタッフが仕掛けた「五城制覇」を祝う演出の数々
番組の最後、タモリさんが五城制覇のパネルを完成させるシーンがありました。スタッフの愛を感じる手作り感満載の演出に、タモリさんも思わず苦笑いしながらも嬉しそう。こうした「作り手と出演者の信頼関係」が画面越しに伝わってくるからこそ、私たちはこの番組を愛して止まないのです。
8. まとめと今後の期待:タモリの旅はどこへ続くのか
犬山城が教えてくれた「土地の記憶」
犬山城は、単なる古い建物ではありません。そこには、数億年前の地殻変動が生んだ岩盤があり、400年前の戦国大名が抱いた野望があり、そして現代までそれを守り抜いてきた人々の意思があります。タモリさんの歩みは、それら重層的な物語を一つに繋ぎ合わせる「魔法の杖」のような役割を果たしていました。
国宝五城制覇の先にある、日本の城郭文化への関心
今回の放送を機に、日本の城への関心はさらに高まるでしょう。国宝だけでなく、各地に残る続日本100名城など、私たちの足元にはまだまだ眠っている物語があります。「五城制覇」はあくまで一つの通過点に過ぎません。
ブラタモリが提示し続ける「歩くこと」の価値
最後にタモリさんが漏らした「歩いてみないと分からないことがある」という言葉。それは、インターネットで何でも調べられる現代において、自分の足で地面を踏み締め、風を感じ、五感で歴史を味わうことの大切さを教えてくれました。ブラタモリの旅は、これからも私たちに「世界の新しい見方」を提示し続けてくれるはずです。
