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なぜ日本人は“神さま仏さま”なのか?タモリ×山中伸弥が解き明かす「変動帯」の祈りとエンタメ魂

目次

1. 導入:タモリ×山中伸弥が斬る!「ニッポンの神仏」という巨大な謎

「日本人は無宗教だ」としばしば言われます。しかし、果たして本当にそうでしょうか。大晦日にはお寺で除夜の鐘を聞き、翌朝には神社で初詣に並び、さらにはクリスマスを祝い、結婚式は教会、葬儀はお寺……。この、世界でも稀に見る「ハイブリッドな宗教観」こそが、実は日本人の底知れぬ強さと柔軟性の源泉なのではないか。そんな壮大な仮説に挑むのが、2026年3月7日放送のNHK大型特番『知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!? なぜ“神さま 仏さま”なのか』です。

MCを務めるのは、もはや説明不要の「博覧強記のレジェンド」タモリさんと、iPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した「知の巨人」山中伸弥教授。この異色の二人が、歴史学、宗教学、さらには最新の地球科学を駆使して、私たちの心の奥底に眠る「祈りのDNA」を解明していきます。

今回の放送で特に注目すべきは、現代文化における「神」の存在です。「神ゲー」「神アイドル」「神対応」……。本来、畏れ多い存在であるはずの“神”という言葉を、私たちはごく自然に、かつ軽快に使いこなしています。この現象は、単なる言葉の乱れなのか、それとも古代から続く「八百万(やおよろず)の神」の精神が、デジタル時代にアップデートされた姿なのか。吉岡里帆さんの瑞々しい感性も加わり、番組は教科書的な解説を遥かに超えた、スリリングな知的冒険へと視聴者を誘います。

2. 放送概要:3月7日(土)19:30〜 NHK総合 80分間の知的冒険

2026年3月7日、土曜日の夜。NHK総合が総力を挙げて放送するこの80分間は、視聴者にとって単なる教養番組の枠を超えた「脳のサウナ」のような体験になるでしょう。タイトルにもある『知的探求フロンティア』シリーズは、今回が第5弾。過去には「人体」や「宇宙」といった巨大なテーマを扱ってきましたが、ついに「日本人の心」という最も身近で最も難解なフロンティアに到達しました。

NHKならではの圧倒的な取材力により、日本各地の聖地や、普段は見ることのできない貴重な儀式の映像が4Kクオリティで展開されます。特筆すべきは、歴史をただ振り返るだけでなく「地球科学(ジオロジー)」の視点を導入している点です。なぜ特定の場所に神社が建てられたのか? その背後に隠された巨大噴火や大地震の記憶とは? 科学的データに基づいたシミュレーション映像は、私たちの知的好奇心を激しく揺さぶります。

また、番組の進行を支える吉岡里帆さんの役割も重要です。専門家たちの深すぎる議論に対し、視聴者と同じ目線で「それってどういうことですか?」と問いかける彼女の存在が、難解になりがちなテーマを私たちの日常に繋ぎ止めてくれます。土曜の夜、家族で「自分たちのルーツ」について語り合うための最高の素材がここにあります。

3. 歴史と背景:なぜ「神仏習合」という独自の形が生まれたのか

日本人の宗教観を象徴する言葉に「神仏習合」があります。6世紀に仏教が伝来した際、日本人は古来の「神」を捨てるのではなく、仏を「遠くから来たすごい神」として受け入れました。やがて「神は仏が姿を変えて現れたものだ」という「本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)」が生み出され、神社の中にお寺があり、お寺の中に神社があるという、世界でも類を見ない共生関係が1000年以上続いたのです。

タモリさんは、この「習合」の歴史に地形の観点から切り込みます。例えば、山岳信仰の聖地。そこは仏教の修行の場であると同時に、古来の神が宿る峻険な岩場でもありました。地形が、二つの異なる信仰を物理的に結びつけていたのです。山中教授はこれを生命科学の視点から「多様性の共存」と捉えます。異なるシステムを排除せず、取り込むことで全体の強靭性を高める——。日本人の宗教観は、生物の進化の過程にも似た「生存戦略」だったのかもしれません。

明治時代の「神仏分離令」によって両者は制度的に引き離されましたが、私たちの心の中では今もなお、神社とお寺は地続きです。番組では、この「曖昧さの美学」がどのようにして育まれ、現代の「無宗教だが祈る」という不思議な国民性に繋がったのか、そのミッシングリンクを歴史的な遺物や文献から解き明かします。

4. 主要出演者分析:異色の3人が生み出す「知の化学反応」

今回の番組を特別なものにしているのは、間違いなくこの3人のキャスティングです。

まず、タモリさん。彼は単なる司会者ではありません。「ブラタモリ」で培われた地質学・地形学的な視点は、宗教という形而上のテーマを「地面」という確固たる事実へと引きずり下ろします。「ここは断層があるから、祈らざるを得なかったんだね」という彼の一言は、何百ページもの学術書より説得力を持ちます。

次に、山中伸弥教授。ノーベル賞学者の視点は常に「なぜ?」という根本に向かいます。細胞の振る舞いや遺伝子のレベルで、人間がなぜ「目に見えないもの」を信じるようになったのか。山中教授が語る「利他」の精神と、仏教における「慈悲」、神道における「清明(さやか)」の共通点は、科学と宗教が対立するものではなく、同じ真理を目指していることを示唆します。

そして、吉岡里帆さん。彼女は京都出身ということもあり、寺社仏閣が日常にある環境で育ちました。彼女が時折見せる、祈りに対する深い共感や、現代の若者としての素朴な疑問は、番組にエモーショナルな熱量を与えます。タモリさんの冷徹な知性と、山中教授の論理的な思考、そこに吉岡さんの豊かな感性が加わることで、この番組は「冷たい知識」ではなく「血の通った知恵」へと昇華されるのです。

5. 地球科学との融合:巨大噴火・大地震が「無常観」を作った!?

今回の番組で最も衝撃的な提言は、「日本人の宗教観は、日本列島の激しい地質活動によって形作られた」という説です。日本は、4つのプレートがひしめき合う、世界でも有数の「変動帯」に位置します。巨大噴火、大地震、津波、台風。抗いようのない圧倒的な自然の猛威の前に、古代の日本人は何を思ったのか。

番組では、最新のシミュレーション技術を使って、過去の巨大災害が起きた場所と、主要な神社の配置を重ね合わせます。すると驚くべき事実が浮かび上がってきます。多くの聖地は、かつての災害の記憶を鎮めるため、あるいは災害から免れた奇跡的な場所に位置しているのです。「祈り」とは、荒ぶる自然への「鎮魂」であり、同時に生き残るための「生存戦略」でした。

この「いつすべてが壊れるかわからない」という過酷な環境が、日本独自の「無常観」を育みました。「平家物語」の冒頭に代表される、諸行無常の響き。しかし、日本人はただ絶望したわけではありません。その「無常」を「美」として捉え、一瞬の輝きを愛でるエンタメ魂へと変換しました。祭りの狂騒、華やかな装飾——。地質学的な絶望を、文化的な希望へと塗り替えてきた日本人の驚異的なレジリエンス(回復力)の秘密が、ここに提示されます。

6. 現代の“神”現象を解明:神ゲー・神アイドルが生まれる心理

番組の後半では、一転して現代のポップカルチャーに切り込みます。なぜ現代の日本人は、ゲームやアイドル、果ては素晴らしい接客に対してまで「神」という言葉を使うのでしょうか。

タモリさんは「それは八百万の神の正当な末裔だよ」と笑います。万物に神が宿ると考える感性は、石や木から、液晶画面の中のキャラクターへと移行しただけ。そこに卓越した技能(スキル)や、心を震わせる「尊さ」があれば、日本人は迷わずそれを拝みます。これは宗教の世俗化ではなく、むしろ「あらゆるものを神聖化できる」という日本人の高い精神性の現れではないか、と番組は問いかけます。

山中教授は、この現象を「脳の報酬系」と結びつけて考察します。「推し」を拝むことで得られる多幸感は、古来の巡礼者が聖地で感じた恍惚と、神経科学的には同じメカニズムである可能性があります。現代の「推し活」は、実は形を変えた「参拝」なのです。二次元と三次元、現実と仮想の境界を軽々と越えて神を見出す、日本人の「エンタメ魂」の正体が暴かれます。

7. マニアだからこそ気づく見どころ:番組の構成と演出の妙

この番組をより深く楽しむためのポイントは、随所に散りばめられた「対比」の演出です。

まずは「静と動」。深山幽谷の静寂の中で、一人祈りを捧げる修験者の映像と、何万人が熱狂するライブ会場での「神」コール。この二つを交互に映し出すことで、祈りの本質が変わっていないことを視覚的に証明します。

また、タモリさんと山中教授の「オフタイムの会話」も見逃せません。スタジオのセットを離れ、収録の合間に二人がボソリと漏らす言葉にこそ、番組の核心を突く真理が隠されていることがあります。タモリさんの「結局、人間は地面に勝てないんだよ」という達観。山中教授の「でも、その地面の上で必死に生きる細胞が愛おしい」という情熱。この二つの視点の交錯こそが、番組の裏のテーマと言えるでしょう。

さらに、BGMの使い方にも注目です。荘厳な雅楽から、最新の電子音楽までをシームレスに繋ぐ音響演出は、まさに「神仏習合」を耳で体験させてくれるような仕掛けになっています。

8. まとめと今後の期待:私たちが未来へつなぐ「祈りの形」

80分間の旅を終えた後、私たちは「なぜ自分がお守りを持ち、初詣に行き、推しに熱狂するのか」という問いに対し、一つの明確な答え、あるいは新たな問いを持つことになるでしょう。

日本列島という、いつ何が起きてもおかしくない「変動帯」の上で、私たちは常に死を意識し、だからこそ生を祝い、祈り続けてきました。神さまも仏さまも、そして現代の新たな「神」たちも、すべては私たちがこの過酷で美しい世界を生き抜くために必要としたパートナーなのです。

混迷を極める現代社会において、この「無常を受け入れ、なおかつ楽しむ」という日本人的なスタンスは、世界を救うヒントになるかもしれません。番組の最後、タモリさんが見せる穏やかな表情と、山中教授が語る未来への希望。そして吉岡里帆さんの清々しい笑顔。それらすべてが、明日を生きる私たちのための「祈り」となって響きます。

『知的探求フロンティア』。このシリーズが次に見せてくれるのは、どんな地平なのでしょうか。私たちは、この列島の上で、これからも「神さま仏さま」と共に歩み続けていくのです。

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