毎週金曜の夜、「こんなこと、人には言えない…」という心の奥底に潜む本音を、キュートな豚とモグラに代弁させるNHKの人気番組「ねほりんぱほりん」。今回は、私自身の専門分野とも深く関わる、そして多くの方が「もしかして自分も?」あるいは「私の周りにもいるかも…」と感じるであろう、非常にデリケートなテーマを取り上げました。
1月9日(金)に放送された「モラハラして離婚しそうな人」。
このタイトルを目にした時、皆さんはどんな感情を抱かれたでしょうか? 「かわいそうに…」と感じた方もいれば、「モラハラする側が何を言うんだ」と憤りを感じた方もいるかもしれません。
しかし、モラハラの問題は、単純な善悪で割り切れるほど簡単ではありません。今日のブログでは、番組の内容を深掘りしつつ、モラハラが生じる心理的背景、そして私たち自身がより健全な関係を築くために何ができるのかを、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。さあ、心の深淵を探る旅に出かけましょう。
🐷 ゲストの「告白」が示す、モラハラの痛ましい実態
番組に登場したモラハラ当事者のゲスト(ここでは仮にAさんとしましょう)は、匿名である人形という存在を借りて、その胸の内を赤裸々に語ってくれました。
Aさんの言葉の端々からは、彼自身もまた、その関係性の中で深く苦しんでいることがうかがえました。彼が語ったモラハラの言動は、具体的な言葉の暴力だけでなく、以下のような心理的な支配の数々でした。
- パートナーの意見を頭ごなしに否定する: 自分の考えが絶対だと信じ込み、相手の感情や視点を全く考慮しない。
- 「お前のため」という名のもとの支配: 愛や心配を装いながら、相手の行動や選択をコントロールしようとする。
- 不機嫌な態度で相手を罰する: 沈黙やため息で、相手に罪悪感を抱かせ、自分の思い通りに動かそうとする。
これらの行動は、受け手にとっては計り知れない心の傷となり、自尊心を蝕んでいきます。しかし、Aさんの告白からは、彼自身が「自分がモラハラをしている」という自覚が曖昧であること、そして「これが普通だと思っていた」「相手が悪いんだ」と心のどこかで感じている様子も見受けられました。ここに、モラハラの根深さがあります。
💔 なぜ「離婚しそう」なのか?モラハラが蝕む関係
ゲストのAさんが「離婚しそう」と感じているのは、当然の結果と言えるかもしれません。モラハラは、関係性にとって「静かな毒」のようなものです。じわじわと、しかし確実に、二人の間に壁を築き、愛情や信頼を破壊していきます。
- 信頼関係の崩壊: 言葉や態度で傷つけられることで、相手に対する信頼は失われ、猜疑心が生まれます。
- コミュニケーションの断絶: 自分の意見を言えば攻撃される、無視されるという経験から、相手は話すことを諦めてしまいます。
- 心身の健康への影響: モラハラを受ける側は、精神的なストレスからうつ病や不眠症、身体的な不調を訴えることも少なくありません。
Aさんの告白の中には、パートナーの苦しみへの鈍感さが感じられる場面もありました。しかし、同時に彼自身が「なぜこんなことになったのか」「どうすればこの苦しみから抜け出せるのか」という問いを抱えていることも。モラハラをする側も、幸せな関係を望んでいないわけではありません。しかし、その根底にある心の歪みが、関係性を破綻へと導いてしまうのです。
💡 他人事じゃない!私たちの中に潜むモラハラの芽
この番組を見て、「いやいや、私はモラハラなんてしないよ」と思った方もいるかもしれません。しかし、モラハラは、決して一部の「悪い人」だけがするものではありません。私たちが日々の中で感じているストレスや不安、過去の経験が、いつの間にか私たちの言動を歪ませ、「モラハラのようなもの」に変えてしまう可能性は、誰にでも潜んでいるのです。
今回の番組は、私たちに以下の学びを提示してくれました。
- 自分の言動を客観視する勇気: 自分の発言が相手にどう伝わっているのか、相手の表情や態度から何を読み取れるのか、振り返る習慣が重要です。
- 「正しさ」の押し付けに注意: 自分の「正しさ」が常に相手にとっての「正しさ」とは限りません。異なる意見を尊重する姿勢が、健全な関係を育みます。
- 感情のコントロールと表現: 怒りや不満を感じた時、相手を攻撃するのではなく、建設的に自分の気持ちを伝える方法を学ぶことが大切です。
- 関係に違和感を感じたら: 「おかしいな」「苦しいな」と感じたら、一人で抱え込まず、信頼できる友人や専門家、あるいは公的な相談窓口にSOSを出す勇気を持ってください。
もちろん、モラハラをする側と受ける側には、明確な構造が存在します。決して被害者が自分を責める必要はありません。しかし、この番組が私たちに与えてくれたのは、「私たちがどのような関係性を築くべきか」という問いへの、重いけれど大切なヒントだったのではないでしょうか。
✨ まとめ:自分と相手を尊重する関係へ
「ねほりんぱほりん」の「モラハラして離婚しそうな人」は、多くの視聴者に衝撃と同時に、深い思索を与えてくれたことでしょう。私たちは、この番組を通じて、人の心の複雑さ、そして関係性の脆さと尊さを改めて学びました。
誰もが、心穏やかに、お互いを尊重し合える関係を築きたいと願っているはずです。もし、あなたの関係性の中に、少しでも「モラハラの芽」を感じることがあれば、それは立ち止まって見つめ直すチャンスかもしれません。
この記事が、皆さんが自分自身と大切な人との関係を、より良いものにしていくための一助となれば、心理学研究者としてこれ以上の喜びはありません。どうか、自分自身の心の声、そして大切な人の心の声に耳を傾けてください。
