東京台東区の会社役員とその妻が自身の次女で当時4歳だった子供に抗精神病薬の「オランザピン」と有害な化学物質「エチレングリコール」を摂取させて殺害した容疑で逮捕されました。
殺害に使用されてとされる抗精神病薬の「オランザピン」と有害な化学物質「エチレングリコール」の毒性と入手ルートについてまとめてみました。
使用された薬品と入手ルートは?
オランザピン
毒性
オランザピンは、抗精神病薬の一種であり、主に精神分裂病や双極性障害の治療に使用されます。一般的に、適切な投与量で使用される場合、オランザピンは比較的安全な薬物ですが、いくつかの毒性や副作用が知られています。
- 代謝異常:オランザピンの使用は、体重増加、高血糖、高コレステロールなどの代謝異常を引き起こす可能性があります。これらの状態は、長期間の使用によって重篤になることがあります。
- シンドローム:オランザピンの投与に関連して、中枢性てんかん発作、悪性症候群、抗コリン作用による便秘、高熱などのシンドロームが発生する可能性があります。
- 心血管系の影響:オランザピンは、心拍数の増加や血圧の変動を引き起こすことがあります。これは特に高用量の場合に顕著であり、心臓病を有する患者には注意が必要です。
- 血液学的影響:稀に、オランザピンの使用は、白血球減少症や、特に高用量での投与時に出血や血小板減少を引き起こすことがあります。
- 精神的影響:オランザピンの使用は、不眠症、不安、興奮、幻覚、思考障害などの精神的な副作用を引き起こす可能性があります。
入手ルート
オランザピンは日本国内では処方箋が必要で医師の診断がないと入手することはできません。
今回容疑者は、処方箋がいらない海外からネットで購入したとの報道がされています。
エチレングリコール
毒性
エチレングリコールは、工業用途や自動車の冷却液として広く使用される有機化合物です。ただし、これは非常に毒性が高い物質であり、誤った摂取や暴露によって深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。
主な毒性のメカニズムは、エチレングリコールが代謝される際に生じる代謝産物である酢酸アルデヒドおよび酢酸であり、これらの化合物が体内で酸性代謝物質となり、多臓器障害を引き起こすことが知られています。
エチレングリコールの摂取または暴露による主な影響は次の通りです
- 腎障害:エチレングリコールの代謝産物が腎臓に蓄積し、腎不全を引き起こす可能性があります。これは特に摂取後数時間から数日後に現れることがあります。
- 中枢神経系への影響:エチレングリコールの摂取により、中枢神経系に影響を及ぼし、意識障害、めまい、頭痛、振戦などの症状が現れることがあります。
- 循環器系への影響:エチレングリコール中毒により、循環器系にも影響を及ぼし、心拍数の増加や血圧の低下などの症状が見られることがあります。
- 代謝性アシドーシス:エチレングリコールの代謝産物による乳酸アシドーシスが発生し、体液のpHが低下することがあります。
エチレングリコール中毒の治療は、早期に毒性物質が除去されることが重要です。これには、吐き気や嘔吐の発生後に嘔吐誘発剤の投与、活性炭の摂取、および適切な医療施設での対症療法が含まれます。また、重症の場合には、腎臓透析が必要な場合があります。
エチレングリコールは非常に危険な物質であるため、安全な取り扱いが必要です。特に家庭での使用や保管時には、子供やペットが誤って摂取する可能性があることに留意する必要があります。
入手ルート
エチレングリコールは自動車の不凍液に使われているため、ホームセンターや自動車店で簡単に購入することができます。
味に甘みがあるため子供の誤飲に気を付ける必要もあります。
エチレングリコールを使用した事件
1985年にオーストリアで生産されたワインなどに、甘味やまろやかさを加える目的でエチレングリコールが添加された事件がありました。
ワインにエチレングリコールを添加することにより高級なワインの味に近づけることができたため、エチレングリコールが添加されたワインが販売されていたことが判明しました。
まとめ
今回犯罪に使用されてとされるのは「オランザピン」と「エチレングリコール」です。
エチレングリコールはホームセンターで購入することもでき、簡単に入手することができるものです。また味に甘みがあるため、子供が誤飲する事故も起きています。